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2023/09/20 ライフプラン
不動産売買などで不動産業者が取引当事者に交付・説明する重要事項説明書において、水防法上のハザードマップ説明が義務化された
河川の洪水で住宅1階部分がすべて水につかる可能性がある市街化区域の人口が過去20年間で約60万人増えたことが、日本経済新聞社の調査で分かったそうです。筆者は不動産仲介業務にも携わっていますが、東京都区部の東側など浸水リスクのある立地での取引は少なくありません。台風シーズンが今年もやってきますが、ここで改めて洪水リスクについて再確認しておきたいと思います。
2020年8月28日より、不動産売買などで不動産業者が取引当事者に交付・説明する重要事項説明書において、水防法上のハザードマップ説明が義務化されました。これによって、住まい探しをする多くの人に洪水リスクを認識してもらうきっかけになったと言われています。
しかし、重要事項説明の現場においては、洪水リスク以外にも大量の事項について2時間程度の時間をかけて説明がなされるため、水害の危険性を具体的にイメージできたという方は少ないのではないでしょうか。ハザードマップは極端な大雨が降った場合の話で、ほとんどそのような事態は発生しないと思い込んでいるという方もいらっしゃいます。
不動産売買に限らず、ハザードマップをチェックする方は増えたと思いますが、具体的な対策を考えたことはないという声も聞きます。特に不動産の購入時はそれ以外に考えることが多く、洪水リスクのことには関心が薄くなってしまうのかもしれません。
住んでいるところや家を探しているエリアに水害リスクがあれば、まずは実際に数日間浸水した状態を想像してみるとよいと思います。ハザードマップには浸水した深さが記載されています。例えば浸水の深さが0.5メートルならば、大人の膝くらいまでの深さになります。その状態で外に買い物に出ることはおそらくできないでしょう。水が引くまで数日かかるでしょうから、いつもの道順でお店や駅に行けないかもしれません。排水管から水が逆流してくるかもしれず、その場合、家庭から出る汚水や雑排水を排水できないかもしれません。その場合どうしたらよいのでしょうか?
浸水の深さが3メートルとなると一般的な一戸建ての1階部分が完全に水没するレベルになります。東京23区の東側は浸水深3メートル以上という場所が多々あります。2階まで水没する浸水深6メートル以上という場所も多く存しています。この水準になってくると、早急に高台へ避難する必要が出てくるでしょう。高台の避難所でも周囲が浸水したままなら孤立してしまうかもしれません。その場合は域外への避難ということも視野に入れておく必要がありそうです。
なお、国土交通省荒川下流河川事務所が作成したフィクションドキュメンタリー動画「荒川氾濫」はインターネットで簡単に見ることができ、洪水の恐ろしさや避難について考えてみるきっかけになります。
浸水リスクのある場所で一戸建てを購入するなどの場合、火災保険の水災補償をかけておくことは重要だと思います。しかし、水災補償があれば安心かというと必ずしもそうではないことに注意が必要です。保険金が支払われるには一定の要件が必要で、一般的には、同等の建物を新築する場合の金額の30%以上の損害を受けた場合や、床上浸水または地盤面から45センチメートルを超えて浸水した場合といったルールがあります。しかも損害の程度によって保険金額が変わりますし、仮に全損だったとしても損害額の7割程度が保険金額の上限となっています。床下浸水の場合や45センチメートル未満の浸水に対して保険金は出ないということにも留意しておくべきでしょう。
19年に関東を襲った台風19号は、荒川が氾濫する寸前だったと言われています。今後、同レベルあるいはこれを超える台風が到来する可能は低くはないでしょう。洪水リスクが少なからずあるエリアで住まいを購入するか、または既にそういったエリアで暮らしている場合、洪水を具体的にイメージしながら、どこに避難すべきか家族で話し合う、数日間耐えられる程度の水や食料品などの備蓄をするなど、準備をしておくことはとても重要なことだと思います。
参考元:【水害の備えはシミュレーションで 保険金出ない被害も - 日本経済新聞 (nikkei.com)】
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